水曜日, 3月 07, 2018

千日手 2018/3/8

https://i.imgur.com/awMn904.gifv

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%83%E6%97%A5%E6%89%8B
千日手(せんにちて)とは、将棋においての配置と手番が全く同じ状態が1局中に何回か現れること。

千日手を巡る出来事編集

  • かつて[いつ?]木村義雄名人戦で千日手を回避し、それが元で敗北してしまった。観戦記者の坂口安吾はこれを厳しく批判し、「千日手を回避すると負けてしまう状況なら、勝負を重んじて千日手にするべきだ」と論じている。
1947年名人戦

坂口安吾『散る日本』(1947年)参照

アマゾンからものすごいサービスが出ました。
月額980円で12万冊の本が読み放題という「Kindle Unlimited」。

僕は「紙の本の手触りやページをめくる感覚が好き!」というかなり保守的な人間なんですけど、
うちの部屋も棋書が500冊を超えていよいよ納めるスペースがなくなってきたので、さすがにKindleを視野に入れようかなと考えています。

そもそも電子書籍がどんなものかよく分かっていないので色々調べていると、「Googleブックス」という面白いサービスを発見。
Google ブックス(英名:Google Books)とは、世界最大のインターネット企業Googleが、ポータルサイトGoogle内で提供している、書籍の全文検索サービスである。
書籍内の全文を対象に検索を行なうことができ、検索結果として表示された書籍の内容の一部(著作権切れの書籍であれば全ページ)が無料で表示される
Wikipediaより引用
へぇ、タ…タダならちょっぴり読んでみよっかな(ごくり)。



①加藤治郎『将棋は歩から』(1992年)

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古参の将棋ファンならば誰もが知っている伝説の名著。
盤上で最も多い駒である「歩」の使い方をテーマに(上)(中)(下)巻の3冊にもわたり扱った超大作です。

故・加藤治郎氏はA級名誉九段という実力もさることながら将棋用語の名付け親として定評があり、本書で登場する「垂れ歩」や「ダンスの歩」以外にも「陽動振り飛車」「ガッチャン銀」「ちょんまげ美濃」「箱入り娘」など優れたネーミングを数多く生み出されています。

残念ながら著作権の都合上すべて閲覧はできませんが、半分近く読めるので十分勉強になるはずです。

②幸田露伴『碁と将棋』(1922年)


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幸田露伴は幕末から第二次世界大戦まで波乱な時代を生きた文豪。
『五重塔』や『運命』などの著作が有名で、尾崎紅葉とともに紅露時代とよばれる時代を築きました。

将棋をあまりに長く続けていると趣味を超えていつしか人生の一部となり、「将棋はいつ、どこから来て、どうして今の形になったのか」という哲学的な疑問が沸いてくるもの。本書『碁と将棋』は当時ほとんど謎に包まれていたボードゲームの由来をおそらく日本で最初に体系化した貴重な一冊です。

昔の文体なので内容の理解に骨が折れますが、どんなに時間をかけてでも読む価値があると思います。
露伴先生、ありがとう!!(そっちじゃない)


③菊池寛『将棋』(1938年)
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菊池寛は小説家である以上に実業家としてその手腕を発揮し、文藝春秋社の創設者として有名です。
また将棋が趣味であったようで『将棋は歩から』の序文も寄せておられます。

そして本書『将棋』は6ページ前後の短編エッセイで、主に将棋上達論が述べられています。
将棋を指すときは、怒つてはならない、ひるんではいけない、あせつてはいけない。
あんまり勝たんとしてはいけない。自分の棋力だけのものは、必ず現すと云ふ覚悟で、悠々として盤面に向ふべきである。
そして、たとひ悪手があつても狼狽してはいけない。どんなに悪くてもなるべく、敵に手数をかけさすべく奮闘すべきである。
そのうちには、どんな敗局にも勝機が勃々と動いて来ることがあるのである。
う~ん、なかなかの名文。
あと冒頭で幸田露伴の名前もちらりと出てきて思わずニヤリとしました。お二人は好敵手だったんでしょうか。(このように他の本とリンクする瞬間が読書の最大の醍醐味です)。

④坂口安吾『散る日本』(1947年)
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坂口安吾は『堕落論』や『不連続殺人事件』などの代表作で有名な文豪。
また大の囲碁将棋ファンとして知られ、碁会所の席主をしたり、将棋名人戦の観戦記を数多く執筆されていたそうです。

中でも時の名人・木村義雄が千日手を回避して敗れた対局を批判した観戦記『散る日本』は名文として名高く、当時の棋界を知らない僕でも読み応えがありました。

また本作のほかにも同氏の『将棋の鬼』『坂口流の将棋観』『勝負師』などが無料で閲覧できました。
最先端を追うのも良いけれど、たまにはこうして過去に立ち返ってみるのも乙なものね~。

× × ×

いかがだったでしょうか。

「将棋の本」といっても昔の観戦記や読み物がほとんど(著作権の保護期間は作者の死後50年と定められているため)で、いわゆる「棋書」を期待していた方にとっては肩透かしだったかもしれません。

しかし、こういう機会がなければきっと永遠に出会わなかった本たちばかりで、個人的には久々に充実した読書タイムを過ごせました。もし上のなかから読みたいなと思う作品がありましたらGoogleブックスからぜひ検索されてみて下さい(^^)